阪神大震災や新潟県中越地震では、被災した妊婦に見舞金を贈ったり、新生児におむつや粉ミルクを贈るなどの支援を展開。
出産を迷う女性を対象にした無料電話相談
「妊娠かっとう相談ヘルプライン」
(フリーダイアル0120・70・8852)を実施。
経済的な理由で出産を迷うケースに対しては、無利子・無担保で金銭的援助を行っている。都内で開かれた全国集会と赤ちゃんポストをめぐるシンポジウムで、田口朝子理事は、
「母にとっても子にとっても、悲しいことですが望まれない命の誕生は、いつの時代、どこの国でもある。大切なのは、1つの命の誕生をどう支えあうかということ」
と、赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)を設置する熊本・慈恵病院の決断を評価。基金がかかわり、これまでに誕生した赤ちゃんは139人。「借金があり、出産費用がない」「相手の男性に逃げられた」「若すぎる」など。
中絶に至ってもやむをえないとも思える事情があるなかで、出産を決意していくという。なかには「離婚する夫の第2子を産みたい」という相談もあり、支援に迷うケースもある。
しかし、田口理事は
「『3歳の長女に同じ父親を持つきょうだいを与えたい』という話を聞き、納得した」
と話す。
田口理事が、ドイツの赤ちゃんポストを視察で、ポストを支える関係者の話や、公的機関による
「妊娠かっとう相談」→(赤ちゃんポスト設置病院での)匿名出産→8週間の母子同居生活→養子縁組の決定
という一連の流れを知り、考えが変わったという。
「養子に出そうと決めていても、赤ちゃんと過ごすうちに考えを変え、およそ半数の母親が自分で育てることを決める。母性とは、そういうもの」
と田口理事。日本で少子化が進んだ一因は
「胎児の命を守ろうという発想、母性に寄り添う政策を進めてこなかったため」
と語気を強めた。
厚生労働省は5日、熊本市の赤ちゃんポスト設置“許可”を契機に
「出産や育児に悩む保護者に対し、相談窓口を周知すること」
を求める通知を都道府県・政令指定都市に出した。同省によると、妊娠中の相談に応じる公的機関は、各地の保健所のほか、「女性健康支援事業」(全国31カ所)などがある。
胎児の命の尊重は、結果的に早婚化や、シングルマザーの社会的容認へとつながる可能性もある。児童虐待防止の立場から、赤ちゃんポストの設置に賛成している杏林大学医学部の佐藤喜宣教授(法医学)は、
「北欧やフランスなどは『子供は社会で育てる』という方向性を徹底し、家族の在り方が多様化している。日本でも、一部その傾向が進んでいるが、社会全体としては、相当な発想の転換が必要だろう」
と話している。
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